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本校は新潟県で最も北にある知的障害を主とした特別支援学校です。

人間尊重の精神を理念とし、学校教育目標「かがやこう」の下、
一人一人の自立と社会参加を実現し、地域に信頼される学校を目指します。

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共生社会の形成に向けた「交流及び共同学習」

 障害のある者が、地域社会の中で積極的に活動し、その一員として豊かに生きることができるよう、地域の同世代の子供や人々との交流等を通して地域での生活基盤を形成することが求められています。このため、可能な限り共に学ぶことができるよう配慮することが重要となってきます
 また、文部科学省の「Special プロジェクト2020 構想」では、2020 年東京パラリンピック競技大会等に向けて、特別支援学校を拠点とした総合型地域スポーツクラブの創設(地域社会のハブ化)や、幅広い地域住民が参加する地域共同運動会・文化祭等の開催などを、具体的な取組の一つとして示しています。これからの交流及び共同学習は、場を学校に限定せず、地域社会も視野に入れた実践が求められるものと考えます。
 村上特別支援学校では上記の理念の下、交流及び共同学習を積極的に実施し共生社会の実現に向け取組を進めていきます。

交流及び共同学習のねらいを問う

 平成28 年夏、神奈川県の障害者施設で凶悪な障害者殺傷事件が発生し、社会に大きなショックを与えました。併せて、東京都で視覚障害者がホームから転落死する事故も起こり、障害者に声をかけられなかった社会の風潮が問題となりました。これらの要因として様々なメディアの評論では、日本は障害のある者とない者が学校や学級に分けられ共に過ごす機会が少ないこと、また交流及び共同学習の在り方もこれまでの取り組み方でよいのかなどの指摘が見られました。このような時代背景を受け、共生社会を目指す教育を進める上で、これまでの交流及び共同学習は何を育てようとしていたのか、これから何を育てていけばよいのかしっかり考えることが重要だと思います。
 これまでの障害者の理解教育は、比較的障害自体に焦点を当てた指導が中心になり、異質感を強調させる心配もありました。一方、高齢者や外国の人との交流のねらいはどのように設定されてきたでしょうか。違いを強調するよりも、共に過ごし互いを知り合うことをねらいにすることが多いのではないかと考えます。そして、そのふれあう体験から生まれたもっと知りたいという関心が相互の理解を深め、一緒に活動していくことを豊かにしていくのだと考えます。
 障害のある子供たちとの交流も同様に、他校児童生徒と一緒に勉強する楽しさや仲良くすることが第一のねらいで、その次に一緒に活動するときに生ずる困難な点について工夫する考えや態度の育成がねらいとなることが望ましいものと考えます。
 日本の学校は、比較的統一された集団のため、外国のように移民の子供たちや障害のある子供たちと触れ合う機会が少ないと考えます。そのため、障害者に限らずできる限り多様な人と出会う機会を設定することが大切になると思います。例えば、近隣の高齢者の方との交流や異学年交流、外国の人たちとの交流なども同様の効果が期待されます。
 共生社会を支える人材教育とは、互いの違いを探すスタートではなく、まず全人的な理解を進め、一緒に活動していくときの困難さを解決し、共に過ごす仲間となる喜びを教えたいものです。


インクルーシブ教育先進国に見る共同学習の授業スタイル

 様々な国でインクルーシブ教育推進のために授業の工夫が取り組まれています。特長としては、一斉指導とグループ学習の併用、課題解決型・体験型学習の活用、授業のユニバーサルデザイン、一人一人に合わせた個別指導、ICT等の支援機器の活用などの工夫が見られました。イタリアでは、インクルーシブ教育に取り組んで40 年の歴史をもちますが、この間様々な授業改善と研究を積み重ねてきました。オランダの先生は、「聞いて学ぶ指導形態はもはや時代遅れだ。」とも言っています。私たちも、多様なニーズをもつ子供たちが、みんなと一緒に学べる授業の工夫をもっともっと研究していくことが必要であると考えます。共同学習の取組は、障害のある人との交流だけでなく、社会がよりグローバル化していく中、様々な価値観をもつ世界の人々と協働していく素地を創る教育にもつながると考えます。次世代の人材に必要とされる多様性に対応できる力の育成が今求められています。



※引用 「交流及び共同学習」実践ガイドブック vol.3 (新潟県特別支援学校長会)

新潟県立村上特別支援学校のホームページ